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実相寺山のほとり、住宅地域の一画に白蓮ゆかりの小手川邸がある。
仏間には、情熱の歌人柳原白蓮の夫、伊藤伝右衛門の飯塚の本邸の仏壇が
移築されており、在りし日の赤銅御殿を偲ばせる。
折上格天井、書院造りの仏間の奥には4畳の仏壇の間を設け、ミニ寺院と
もいうべき形式を整えている。金色に輝く鳳凰の舞う欄間彫刻、観音開き
の扉を開くと3基の宮殿に阿弥陀仏を中心に法然、親鷲上人の絵像を祀る。
見上げると、折上格天井の格間には彩色を施した紋様が描かれ、その配色
の妙は華麗の中にも気品を堪えている。仏具一式も緻密な細工を施し、ま
さに仏間の王者ともいうべき風格をそなえている。
伊藤伝右衛門の白蓮への思い入れとその美的センスの良さ、仏壇師の腕が
一体となって創り出した貴重な造形空間である。
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